東京大学大気海洋研究所 海洋生物資源部門 環境動態グループ

研究活動

研究活動(郭晨穎)

        

研究テーマ:マサバの遊泳および呼吸代謝に関する特性解析:成長-回遊モデルの構築に向けて

        
プレスリリース「魚類はエネルギー最効率化のため生育環境に応じて呼吸代謝特性を調整する」
        
プレスリリース「成長-回遊モデルによるマサバ初期成長への環境影響の解明」
        
数十年スケールの資源変動を示すマサバに注目し、マサバが海洋環境変動に応答してどのようにその回遊や成長を変化させるのか調べるために、成長-回遊モデルの構築を目指しています。         
成長-回遊モデルを作るためには、水温の変化に対応してマサバがどのように応答するか調べる必要があります。         
そのため、水温を変化させてマサバの遊泳速度と呼吸代謝が変化するのかを室内実験で調べています。
        


1. サンプル確保

まずはマサバを釣りに行きます。
釣好きの人がいると助かります。


2. マサバの馴致

室内の水槽に移して一定水温で環境になれるように飼育します。最初は怯えますが、時間が経つと元気になり、餌を奪い合うよいうになります。


3. スタミナトンネルへマサバ投入

一匹を選んで、スタミナトンネルに封入します。スタミナトンネルは水槽内に入っていて水温が一定に保たれています。


4. 速度調整

モーターで流れの速度を変化させながら魚を泳がせます。


5. 酸素消費量測定

魚が一所懸命泳いている間、トンネル内の酸素濃度変化をセンサーで測って記録します。


6. 酸素消費量測定の例

 密封環境なので酸素がどんどん減っていきます。酸素が少なくなったらポンプを使ってトンネル内の海水をフレッシュします。
                          遊泳速度の限界まで測定します。
                          それぞれの遊泳速度で酸素消費量を計算します。


7. 稚魚の酸素消費量の測定にも挑戦

資源変動には、仔稚魚期の成長が影響すると考えられているため、人工孵化させたマサバ稚魚の酸素消費量測定にも挑戦しています。
                          小さい魚専用のスタミナトンネルを用います。


8. 実験後、疲れた魚のサイズを測ってから飼育水槽に戻して、実験終了です。

瀬戸内海区水産研究所さん、唐津市水産業活性化支援センターさんの施設をお借りして実験させてもらっています。