冬季日本海には帯状収束雲や
それに伴うメソスケールの擾乱など様々な現象が発生する。
そのような現象のひとつにポーラーロウと呼ばれるメソスケールの擾乱がある。
ポーラーロウは世界の高緯度海洋上で発生する
水平スケール200〜1000km、寿命1〜2日の低気圧で、
寒気内小低気圧と呼ばれることもある。
日本海は中緯度に位置するが、
総観規模の低気圧が発達しながら日本の東海上に進み、
寒冷渦が近づくとともにしばしばポーラーロウが発生することが知られている。
本研究では、2005年10月と12月に発生した2つのポーラーロウに注目した。 この2つはいずれも上空に寒冷渦が近づいてきたときに発生したが、 衛星を中心とした観測データの解析から、 前者のポーラーロウは非軸対称な雲の構造や風速分布をしていることが、 後者のポーラーロウは軸対称に近い台風のような構造をしていることが 明らかになった。 また、観測だけでは得られないポーラーロウの 詳細な内部構造を明らかにするために 数値モデルを用いた再現実験を行ったところ、 2つのポーラーロウを良く再現することができた。 この数値シミュレーションの結果に基づき、 2つのポーラーロウにおける内部構造の違いを そのライフサイクルに分けて解析した。 またモデルに含まれる様々な物理過程をon/offさせる感度実験の結果より、 何がポーラーロウ発達に大して重要な役割を果たしているのかを考察する。 |