2003年10月13日の午後、 前線を伴った低気圧が時速60〜70km/hで関東南部を通過し、 短時間強雨と突風被害をもたらした。 茨城県龍ヶ崎では1時間に60mmの激しい雨が降り、 一方、茨城県神栖では3000トンのクレーンが倒壊するなど、局地的に突風が吹いた。 この低気圧のライフサイクルに関する総観規模での時間発展については Ogura et al.(2005)に詳しいが、 メソスケールでの解析は課題として残されている。 そこで本研究では、主に成田空港と羽田空港の ドップラーレーダーのデータを用いて解析を行った。 その結果、低気圧の中に直径10km前後のメソサイクロン (直径>4km、鉛直渦度>0.01/s)が存在し、 その中に直径2km前後のミソサイクロン(直径<4km)が存在するという、 多重スケール構造を持っていたことが明らかになった。 中間発表では、これらの構造について述べるとともに、 鉛直軸周りに強い循環が生じるメカニズムについて、デュアル ドップラー解析によって求めた三次元的な風速分布に基づいて考察を進める。 |