水塊特性がきわめて一様な北太平洋の深層循環は、複雑な海底地形のためもあり、
いまだ、 明確でない。 World Ocean Atlas 2001 の1/4度バージョンを用いて、
年平均気候値から診断的に流速場を計算することで、定量的に循環を記述するこ
とを試みた.
計算によれば、南太平洋を北上する南極周極流起源の深層水は中央太平洋海盆西 岸を北上し、ウェーク島水路手前で分岐する。 一方は165E付近をシャツキー海 膨まで北上し、西に向かう。 他方は18N付近の海山帯に沿って西に向かい、伊豆 小笠原海嶺沿いを北上する。 両者は日本東方で合流し、 西岸を北上し、42N付近 で東に向かって天皇海山列のギャップを抜ける。 流量は5〜10Svと推定される. このような循環像は、過去の観測結果と整合する部分も多いが、海溝沿いの南下 流などは再現されなかった。 モデルの解像度では岸付近の細かい構造を十分に 分解できていないと考えられ、今後、 検討が必要である。 風データやモデルパ ラメータなどを変えたケースも行ったが、循環に大きな相違は見られない。 |